にょわにょわKVM(?)
IPKVMが欲しかった話
そもそもKVMとはKeyboardVideoMouseの略で、複数のPCやサーバーを一セットのキーボードマウス液晶で切り替えて操作できるようにするデバイスです
一般的に2~4台程度では市販されていますが一台のデバイスで8,16…etc台を制御するとなると業務用クラスになってしまいます
業務用クラスのKVMもべらぼうに高くはありませんが、KVM自体実機の近くで操作する必要があります
うるさいサーバーの横で作業するより快適な環境からリモートで操作できるのがIPKVMです(最も拠点外からリモート操作するとか、大量のサーバーから選んで接続するとかのが一般的だと思いますが)
IPとあるように同じネットワークに接続していればブラウザや専用ツールから操作できるようになるのですがこれまた高い…
よくある(?)ATENのIPKVM KN2116VBだと77万ぐらいします
過去のモデルの中古でも8万+接続アダプタx台数が必要なのでそれなりの値段になります
また、サーバーの場合IPMIにもKVM機能が付いている事もありますが、あくまでサーバークラスのマシンに限られます
今回は普通のPCに繋いで操作ができるようにしたいので買おうと思いました。
NanoKVMを買った
中国系のsipeedと言うメーカーが同社のRISC-V系のシングルボードコンピュータ(SBC)LicheeRV Nanoを利用したIPKVMを発売しました
今回はそのデバイスを購入した感じになります
スペックとか
基本スペックはLicheeRV Nanoをベースとしています
CPU | SOPHGO SG2002 (RISC-V C906 / ARM A53) | RISC-VかARM64のいずれか選択 |
RAM | DDR3 256MB | |
NPM | 1TOPS INT 8,BF16 | |
Storage | TF/SDカードスロット | |
映像入出力 | 2レーンのMIPI DSI出力 4レーンのMIPI CSI入力 | タッチスクリーンサポート |
オーディオ入出力 | 1W出力(アンプあり) アナログ入力 | |
LAN | 100M RJ45 | |
USB | USB2.0 OTG Type-C | |
OS | Buildroot Linux / Debian | nanoKVMではBuildroot Linux |
このSBCですが、500円玉より少し大きいぐらいなのにNPUやらLANやらついててんこ盛りです
SBC単体でもAliexpressで購入できます(2400円ぐらい)
このLicheeRV NanoにHDMIキャプチャができるデバイスとIPKVMのソフトウェアを付けたのがnanoKVMです
NanoKVMのスペック
NanoKVM(Lite) | NanoKVM(FULL) | 備考 | |
CPU | LicheeRV Nano (RISCV) | LicheeRV Nano (RISCV) | |
Resolution | 1080P @ 60fps | 1080P @ 60fps | |
Video Encoding | MJPEG, H264 (WIP) | MJPEG, H264 (WIP) | 今のところMJPEG |
UEFI/BIOS | 操作可能 | 操作可能 | |
Emulated USB Keyboard/Mouse | あり | あり | |
Emulated USB Storage | あり | あり | |
Wake-on-LAN | あり | あり | |
Tailscale | あり | あり | 追加のパッケージを入れる必要あり |
Custom Scripts | あり | あり | |
ATX Power Control | なし | IO コントロールボード | liteでも自分で付けることができる |
OLED Display | なし | 128×64 0.96″ white | liteでも自分で付けることができる |
Serial Terminal | 2 channels | 2 channels | |
MicroSD Card | なし(自前で用意) | あり | |
アクセサリ | なし | WiFi or PoE |
対抗としてPIKVMが上げられていますが、コスパは高いと思います
(一応FULL版はWiFiが付いていますが、技適は付いていないっぽいのでご注意ください)
NanoKVMの使い方
使い方は簡単で、専用イメージをmicroSDカードに焼いて、USBケーブルとHDMIケーブルを付ければOKです
あとはDHCPで振られたIPアドレスにブラウザにアクセスすればIPKVMの画面が出てきます
現在配布済みのイメージは映像が送られてこないので、アプデしてあげれば動作します
ヤッタゼ!
使ってみての感想
まず、中華系のボードというのもありIPKVMのためのセグメントを分けて使ってみました。
念のためパケットキャプチャーもしたりと大がかりに準備して結果としては今のところ変な挙動をしていませんでした。
ただ、リリースされたイメージに付属しているKVMソフトウエアがまだOSS化されていないのもありあと一声なかんじ
(ただしGitHubのリポジトリのスター数でOSS化の予定があるようです)
#RISCV #NanoKVM is starting #opensource!
After a month of busy bug fixing,we finally have time to clean up the code and release it.
We are starting with the frontend, and will open the backend once we sell 10K pcs or get 2K stars!
Check out and Star now!https://t.co/zfJtdM7obg— Sipeed (@SipeedIO) August 9, 2024
使ってみての感想としてはレスポンスも悪くなくてとても良かったです。
(KVMなのでホストの影響を受けないのもよき)
KVM本体以外のSDカード,HDMIなどのケーブルなどを計算しても5つセットで3万程度でした。
全体の値段、サイズ、入手性を考えたら悪くないかなと思います
使ったもの
右下のPCをキャプチャしてMacBookAirのブラウザで移している様子
大きな遅延も無く操作できました
ちっちゃいね
VGA出力のホストはHDMIの変換アダプターを追加しました
NanoKVMのターミナルもあり操作できます
# uname -a Linux kvm-2af9 5.10.4-tag- #67 PREEMPT Thu Aug 8 19:39:56 PDT 2024 riscv64 GNU/Linux # cat /etc/os-release NAME=Buildroot VERSION=-gbef2ca41a-dirty ID=buildroot VERSION_ID=2023.11.2 PRETTY_NAME="Buildroot 2023.11.2" # ls /bin/cat_224.jpg /bin/cat_224.jpg
ちょっとカーネルが古く感じますね
(謎の猫の画像もあります)
気になったところ
一部のキーが入力できない
キーボードのBackSpace横にある\キーが打てませんでした。
最初はNanoKVMがUSキーとして扱っているためずれているのかなと思いましたが、どうやら¥キーのみ受け付けてくれませんでした。(もちろん|とかも打てない)
裸状態はちょっと不安
今回Lite版を買いましたが、設置場がメタルラックというのもありショートなどが起きないか不安でした
HDCPを無視している
どういうわけかテレビチューナーのHDMIを繋いだところ映ってしまいました(音は元から出ないのであれですが)
あー
いろいろあうとなヤツ(何も噛ましていない pic.twitter.com/VzE3s8BgQJ— じんさん@ zin3 (@uesitananame55) September 21, 2024
何ででしょうかねぇ…
そもそもサーバーを操作することは多くはないですが、しばらく使ってみようと思います
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